アイスランドの大規模実験(2014-2021年)

週40時間から35〜36時間への労働時間短縮を、2,500人以上(全労働人口の約1%)を対象に実施。

評価指標結果
生産性・サービスの質維持または向上
労働者の満足度78%が現状に満足
健康・幸福度病欠減少、活力向上
現在、アイスランドの労働人口の51%以上が労働時間短縮を実現
経済成長が損なわれた形跡はない。増加した余暇時間は「エクスペリエンス・エコノミー(経験経済)」への支出(自己投資、レジャー、外食、観光)を促進している。

フランス週35時間労働法(1998年)

国名年平均成長率(1998-2007)個人消費成長率
フランス2.6%1.4%
ドイツ1.8%0.4%
イタリア1.6%0.9%
フランスの世帯消費は年平均1.4%増で、ドイツ(0.4%)を引き離した。
労働時間短縮が「失業による所得喪失」ではなく、実質賃金の維持を伴う「労働の再配分」として機能した場合、消費を強力に刺激するエンジンになり得る。

スウェーデンの「6時間労働」実験

看護師を対象とした実験では、健康状態とケアの質は劇的に向上。しかし、不足分を補うための追加雇用(17名)に130万ドルのコストがかかり、公共予算の観点から継続断念。

教訓:技術による劇的な生産性向上が伴わない形での時短は、コスト負担を誰が負うかという問題が発生する。
AIがこの生産性ギャップを埋める役割を果たすならば、「生活の質の向上」と「経済的持続性」を両立できる可能性が高まる。

Coach's Note

「人が働かなくなる」=「消費が減る」という単純な図式は成り立たない。鍵は「所得の維持」と「余暇の質」。AIによる生産性向上が、労働時間短縮を経済的に持続可能にする可能性を示している。